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6月 13

プロ選手のストリングスとテンション – 2011春

かなり前(2010/2)にこのブログで、プロ選手のストリングスとテンションについて情報をアップしたのですが、その後ネットでATP・WTAのプロ選手の使用ストリングスとテンションの一覧表を見かけました。
が、不覚にもブックマークし忘れてしまい、その後その情報を見つけることができずにいたのですが、先日偶然にも見つけることができました。

ソースはUSのWilsonのブログのストリングマシン「Baiardo」の記事。
2011年の全豪オープンの時点でのプロ選手のストリングスとテンションの一覧表です。

この表をじっくりみてるとかなり興味深いですね。
選手のプレースタイルからはとても想像できないセッティングがされていたり、変わったストリングスを使用していたり。少しですが選手のこだわりも垣間見えるところも。

ソースとなったサイトに掲載されているオリジナルの表では、テンション表記がkg表示だったりlbs表示だったりと不統一で比較しにくかったので、すべて馴染みのある方のlbsに換算してみました。
またWilsonの営業ツールだけに、フレームの情報はなく、ストリングスとテンションだけの表記だったので、各選手の使用フレームの情報も追加し、フレーム、ストリングス、テンションとを併せて眺められるような表にしてみました。

まずATPの男子選手の表です。(表をクリックすると拡大されます)

Atp_2011_ao

まず、テンションについて。

意外にテンションが緩めなのがナダル、フェデラ、フェレール、フィッシュ。そのなかでも特に柔らかい設定なのがベルダスコ、ナルバンディアン、バグダディス、そしてダビデンコ。
ダビデンコはご存知のとおり、フラット系の超高速ストロークをもつ選手ですが、そのスウィングからは考えられないほどの緩め設定です。

逆に堅め設定なのがユーズニーとイスナー。この2人は高反発系のフレームを使用しているため、飛びを抑えるために高めの設定にしているのかもしれません。

あと、メインとクロスで大きめのギャップがあるのがベルダスコ。4.4ポンド差をつけてますね。

 

使用ストリングスについて。

意外にBabolat+Luxilonの組み合わせの選手が多いようです。
ジョコビッチ、ルビチッチ、チリッチ、バグダティス、ダビデンコ。
特にBabolaのナチュラルを使用するケースが多いようなので、選手の評価としては、Babolatのナチュラルはクオリティが高いという評価がされているのかもしれません。
こういう場合の契約は両者と締結するんでしょうね。
(ただ、両社のステンシルが同時に入っているのは見たことがないですけど…)

ちょっと変わったストリングスを使用しているのが、メルツァー、ユーズニー、ロドラ。
メルツァはIsospeed、ユーズニーはPacific、ロドラはTecnifibre(Redocode)。
ユーズニーに関しては全仏ではSignum Proのステンシルが入っていましたので、Pacificから契約変更したと思われます。

 

次にWTAの女子プロ選手の表です。(表をクリックすると拡大されます)

Wta_2011_ao

テンションについて。

女子のほうが全般的に高めの設定の選手が多いようです。
これは男子と比べてフラット系のスウィングの選手が多いからでしょうか。(実際、この表に掲載されている選手の平均値をとってみると、男子は56.5×55.7lbs、女子が57.6×56.5lbsと、女子の設定テンションの方が高めのようです)

その中でも高めの設定の選手としては、クライシュテルス、ヴィーナス・ウィリアムス、全仏女王のリー・ナ。
クライシュテルスとリー・ナは高反発系のPure Driveを使用しているからだと思いますが、とはいえ68lbsは相当堅いはずですよね。
そしてヴィーナスにいたっては低パワーのBladeを使用していますので、選手自身のパワーがスゴいということでしょうか。

また、クレイヴァノワはメインよりもクロスの方がテンションが高いセッティングになってるのは面白いですね。

 

次に使用ストリングスについて。

「Racquet Fuel Super」という変わったストリングスを使用しているのがペトロワ。このメーカー/製品名はまったく馴染みがありません。クレイヴァノワが使用するIsospeedも珍しいですね。
キリレンコはフレームと同じくYONEXのストリングスを使用していますが、WTAの選手でYONEXのストリングスを使用しているのは少ないですよね。
同じYONEXのフレームの契約選手となったC.ウォズニアッキは、使用フレームが変わる前と同じストリングスを使用しているようです。(Babolat Revenge+Natural)
彼女にとってはフレームが変わることによるギャップよりも、ストリングスが変わることによるギャップの方が影響が大きいのかもしれませんね。

それにしても男女を通じてLuxilon Alu Powerのユーザーが多いことがわかります。
Alu Powerはテンションロスが大きく、寿命が短いストリングスとよくいわれますが、アマチュアと違い、試合直前に張り上がりほやほやの状態で使用するプロ選手にとってはテンションロスは関係ないんでしょうね。

▼ ソース: Wilson Tennis’ Blog (別ウィンドウで開きます)

コメント

  1. HT より:

    こんにちは
    > 特にBabolaのナチュラルを使用するケースが多いようなので、選手の
    > 評価としては、Babolatのナチュラルはクオリティが高いという評価
    > がされているのかもしれません。
    全米の場合だと、ウイルソンがオフィシャルストリンギングなので、「指定がなければバボラ」というのが一般的です。
    敢え指定しない選手の場合に無条件でVSになるので、使用頻度が高い結果になっているのだと思います。
    昔は糸の会社の方々も積極的に会場で営業していましたが、今はもうあまり見かけなくなりましたね。
    欧州だとジュニア向けにただの糸を配りまくるメーカーもありますが、アメリカではそういうのもめっきり減ってしまいました。
    結局シェアはオフィシャルストリンギングの契約如何になってしまっていると思います。

  2. しんぺ~ より:

    HTさん、コメントありがとうございます。
    “全米の場合だと、ウイルソンがオフィシャルストリンギングなので、「指定がなければバボラ」というのが一般的です。
    敢え指定しない選手の場合に無条件でVSになるので、使用頻度が高い結果になっているのだと思います。”
    なるほど、そういう背景があるんですね。
    そういう意味では、このリストのナチュラルについては「全豪の会場での」使用ストリングス、といえそうですね。
    Wilson、Pacific、Princeのナチュラルとなっている選手は、ナチュラルについても拘って指定している(or 契約先がちゃんと用意している)という感じかもしれませんね。

    HTさんはかなり事情にお詳しいようですが、この業界の方でしょうか。
    またいろいろ教えてください。

  3. rymon より:

    テンションが高いほうが反発が良くなってより飛ぶということもありますよね。
    そしてラケットの能力、ガットの能力のバランス、自分が何を武器にしたいかを選手がどんなふうに思ってるのか、なんとなく見える気もしますよね。
    昔から変わらないと思うのは、男子のほうが女子より低い平均ということですよね。
    あとは、俺が学校で張りだした頃は、ショップの人に横は縦の0.9掛けでとか0.8掛けでって言われてテンション設定してたのでした。2本で張るやり方で。今は1本張りでそしてたいていは同じ強さで張りますよね。
    バネ式で張ってた頃から、今のような電動で張るようになって、変ったことや変ってないこと、色々最近ストリングについて考えると面白いです。

  4. しんぺ~ より:

    rymonさん、コメントありがとうございます。
    > そしてラケットの能力、ガットの能力のバランス、
    > 自分が何を武器にしたいかを選手がどんなふうに
    > 思ってるのか、なんとなく見える気もしますよね。
    それぞれの選手のプレースタイルとか得意ショットから
    このデータを眺めてみると楽しいですよね。
    ここまで一覧になってるのを見たことがなかったので、
    結構興奮しました。
    > 俺が学校で張りだした頃は、ショップの人に横は縦の
    > 0.9掛けでとか0.8掛けでって言われてテンション設定
    > してたのでした。
    x0.9、x0.8というと50lbsの場合45lbs,40lbsですね。
    昔のフレームは強度が低かったので、横を結構落としてたのかもしれませんね。
    > テンションが高いほうが反発が良くなってより飛ぶと
    > いうこともありますよね。
    こういう意見もたまに目にするんですが、正直なところ、ちょっとピンとこないんですよね。低い方が飛ぶ印象です。私が使ってないテンションのレンジにこういう分岐点があるのかなとも思うのですが、よくわかってません…

  5. HT より:

    その昔、鈴木貴男選手にお話を聞いたときに、
    「技術も向上し、筋力も付いてきたのでだいぶ緩く張れるようになってきた」
    と言っていました。
    非常に興味深い見解だと思っているので井までも良く覚えています。
    全米の会場では、天気次第で結構大幅に上下させる選手が多く、特にポリ使用の選手にその傾向は強いように思えます。
    また縦横の張力差については、私も昔は横を落とせと言われて、実際にそうしていましたが、いまは横が高い人も結構いるみたいです。
    この辺りラケットの設計や素材、そして張り機の変化によるものなのでしょうね。
    Racquet Fuel はオーストラリアのメーカーですね。こちらでは見かけたことはありません。
    あと、私は業界の人ではなくただの愛好家です(笑)
    いつも楽しくこのブログを拝見させて頂いております。

  6. しんぺ~ より:

    HTさん、コメントありがとうございます。
    貴男選手のコメント、深すぎて私にはとても理解できない領域のようです。
    (パワー、スピン、距離をコントロールできる技術を身につけて、緩いテンションでもそれができるということかなと思いましたが、筋力って?という感じです)
    HTさんは業界の方ではなかったんですね。
    それにしてもいろんなことをよくご存知ですね。
    またぜひ、いろいろ教えてください。